ポライトネス入門
ポライトネス理論をわかりやすく解説した入門書!
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著者 |
滝浦真人〔著〕 |
刊行日 |
2008年8月27日
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ISBN |
978-4-327-37723-6 |
Cコード |
0081 |
NDCコード |
801 |
体裁 |
A5判 並製 176頁
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定価 |
定価1,980円(本体1,800円+税10%)
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- 内容紹介
- 日本においても近年よく言及されるようになったポライトネス理論をやさしく解説した待望の入門書。ブラウン&レヴィンソンの理論の解説のほか、「距離」という概念を用いた著者ならではの視点によって、ポライトネス理論を日本語研究にどのように適用すればいいのかを詳説する。単なる理論の入門書におさまらず、これからの日本語研究に役に立つ解説を展開し、大学生・大学院生・ 日本語研究者のほか、日本語について知りたい人も楽しんで読むことができる。
<著者紹介>
滝浦真人(たきうらまさと)
麗澤大学教授。専門は言語学、とくにコミュニケーション論。日本学術振興会特別研究員、共立女子短期大学文科講師〜助教授、麗澤大学助教授を経て現職。東京大学文学部卒、東京大学大学院人文科学研究科言語学専攻修士課程修了、東京大学大学院人文科学研究科言語学専攻博士課程中途退学。著書に『日本の敬語論――ポライトネス理論からの再検討』(大修館書店)、『お喋りなことば――コミュニケーションが伝えるもの』(小学館)ほか。
- 目次
- はじめに
第1章 「ポライトネス」の背景――人間関係にかかわるいくつかの普遍-
人間関係と"なわばり"のややこしい関係
"聖なるもの"に対する態度のとり方──デュルケームの儀礼論
演じられる役割の交通整理──ゴフマンの"共在の秩序"
"あなた"と"わたし"の距離──冗談関係/忌避関係、T/V代名詞
人間としての欲求──ブラウン&レヴィンソンの「フェイス」
第2章 ブラウン&レヴィンソンのポライトネス理論――効率と配慮、どちらをとるか?
会話の"自然さ"──ポライトネスの語用論的背景
言葉で相手に触れること──効率と配慮
ブラウン&レヴィンソンのポライトネス理論
フェイス侵害行為とフェイス・リスク
ポライトネスのストラテジー
ポジティブ・ポライトネス
ネガティブ・ポライトネス
ほのめかし
ポライトネスと言語文化
第3章 敬語とポライトネス――会話の場で人間関係を切り分ける
「ポライトネス」と「敬語」
敬語は〈距離〉の表現である──敬語の定義
「する」と「なる」
「敬語は〈敬意〉の表現である」?
敬語の3分類? 5分類?──敬語のコミュニケーション・モデル
機能の相互独立性
人物の同一性と役割の同一性
「親愛の敬語」はあるか?
敬語の意味論から語用論へ──人間関係の像
ウチとソト──敬語のダイクシス
人間関係を切り分けること ──敬意から疎外まで
第4章 〈距離〉とポライトネス――"人を呼ぶこと"と"ものを呼ぶこと"の語用論
〈距離〉の網の目
〈距離〉の構えとしての呼称
呼称における遠と近
日本語の呼称は何を呼んでいるか?
呼称の語用論
「おねえさん」のポライトネス?
「よっ、社長!」の f(意味) = 発話効果
指示詞コソア
"人を呼ぶこと"と"物事を呼ぶこと"
コソアの意味
コソアの語用論的効果
指示詞と人間関係の〈距離〉
視点を操作する
指示詞とポライトネス
発話効果の相対性、そして終助詞
第5章 ポライトネスのコミュニケーション――会話のスタイル、言語行為、文化差
形式と機能──ポライトネスの担い手
会話の構造──相手の言葉に触れるか触れないか
沈黙とオーバーラップ
高関与体と高配慮体
"言葉で相手に触れる/触れない"こと
言語行為の対照ポライトネス論 ──断わり、ほめ
断わりの談話構成
ほめ・ほめに対する応答
あいさつ──人間関係の文化的コード
ふたたび3要因D・P・Rについて──ブラウン&レヴィンソンの新しさ
言語行為と言語表現の要因分析
「民族性」へのアプローチ
第6章 [応用編] 終助詞「か/よ/ね」の意味とポライトネス――話者が直観的にしていることの長い説明
終助詞なしではやれない日本語
話し手と聞き手の何を問題にすべきか?
知識・認識・なわばり
モニター標識としての終助詞
「か/よ/ね」の意味機能と素性指定
接続関係から見えること
連接形終助詞をめぐって──「かね」「かよ」「よね」「*ねか」「*よか」「*ねよ」
用例による意味素性の検証
終助詞の待遇性
「ね」の語用論的機能
「か」と距離
「潜在的ポライトネス傾向」と語用論的機能の多様性
[+]と[?]の意味
基点と距離のモーメント
引用文献
あとがき
索引