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書籍紹介

英語学モノグラフシリーズ20〈全21巻〉
認知意味論の新展開 ――メタファーとメトニミー

著者 谷口一美〔著〕
刊行日 2003年8月8日
ISBN 978-4-327-25720-0
Cコード 3380
NDCコード 801
体裁 A5判 並製 216頁
定価 定価3,080円(本体2,800円+税10%)

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内容紹介
 従来、メタファー(隠喩)、メトニミー(換喩)をはじめとする比喩の研究は周辺的研究とみなされてきた。その比喩への言語学的アプローチを大きく転換させたのが認知意味論である。本書では、認知意味論によるメタファー、メトニミーの研究とその理論の流れを概観するともに、心理学など関連領域での研究と照らし合わせることで、そのメカニズムの解明の手がかりを探る。
 
<著者紹介>
谷口一美(たにぐち かずみ)
 大阪大学大学院文学研究科後期博士課程中退。大阪大学文学部助手を経て、現在大阪教育大学教養学科助教授。共著:『認知言語学の基礎』(研究社出版、1996)。論文: “On the Semantics and Development of Copulative Perception Verbs in English: A Cognitive Perspective” (English Linguistics 14, 1997) など。
目次
第1章 はじめに
 1.1 メタファー・メトニミーの定義
 1.2 「レトリック」から意味論へ
 1.3 共感覚比喩
 1.4 理論的背景:認知意味論「以前」
 1.5 認知意味論の登場とメタファー・メトニミー
 
第2章 概念メタファー
 2.1 導管メタファー:概念メタファーの出発点
 2.2 構造のメタファー
  2.2.1 経験とメタファー
  2.2.2 経験のゲシュタルト
  2.2.3 多面的経験と構造のメタファー
 2.3 方向性のメタファー
  2.3.1 上下のメタファー
  2.3.2 方向性のメタファーの基盤
  2.3.3 時間に関する空間化メタファー
 2.4 存在のメタファー
 2.5 メタファーと文化
 2.6 Lakoff and Johnson (1980) と認知意味論
  2.6.1 主観的意味論
  2.6.2 カテゴリー論
  2.6.3 経験基盤主義
 2.7 新しいメタファー論:伝統的メタファー論との比較
  2.7.1 概念メタファーと類似性
  2.7.2 メタファーの機能:「具体的なもの」から「抽象的なもの」を理解する
  2.7.3 「メタファー」が指すもの
 
第3章 メタファー写像とイメージスキーマ
 3.1 イメージスキーマ
  3.1.1 イメージスキーマに基づく多義性の研究
  3.1.2 スキーマに関連する言語理論
 3.2 領域間写像としてのメタファー
  3.2.1 「写像」からみた概念メタファー
  3.2.2 何が「起点領域」となるか
  3.2.3 写像はどの程度行なわれるか
  3.2.4 メタファー写像の適用例:動詞goから未来標識への発展
 3.3 メタファー写像と不変性原理
  3.3.1 メタファー写像の性質
  3.3.2 推論パターンの写像
  3.3.3 空間概念に基づく推論
  3.3.4 空間化メタファー
  3.3.5 慣例的メタファーと新しいメタファー、詩的メタファー
  3.3.6 写像からみた「死んだメタファー」
 3.4 メタファーの階層性
 3.5 メタファー研究と言語理論
  3.5.1 文法化、歴史的意味変化
  3.5.2 構文の意味拡張とメタファー
  3.5.3 イメージスキーマと抽象化
  3.5.4 概念融合 (conceptual blending) とメタファー
 3.6 関連領域でのメタファー写像理論の適用
  3.6.1 文学作品研究
  3.6.2 ASLと概念メタファー
 3.7 Lakoff and Johnsonへの批判とその検討
  3.7.1 概念のメタファー表示:目標領域は完全に起点領域に依存しているか
  3.7.2 処理過程に相違はあるか
  3.7.3 類包含と属性付与によるメタファー
 
第4章 プライマリーメタファー
 4.1 プライマリーメタファーの概要
 4.2 プライマリーメタファーへの「分解」: THORIES ARE BUILDINGS を例に
 4.3 プライマリーメタファー再考:分解分析の問題点
 4.4 プライマリーメタファーと身体性基盤
 
第5章 メトニミー
 5.1 近接性の種類に基づくメトニミーの分類
  5.1.1 メトニミーの生産的パターン
  5.1.2 状況依存的メトニミー
  5.1.3 部分・全体関係とシネクドキ
 5.2 認知意味論からみたメトニミー
  5.2.1 メトニミーの非対称性
  5.2.2 参照点構造
  5.2.3 認知的際立ちとメトニミー
 5.3 認知言語学からみた「近接性」
  5.3.1 ICM, フレーム、スクリプト
  5.3.2 フレームと近接性
  5.3.3 ICMと近接性
  5.3.4 フレーム・ICMの同定はどこまで可能か
  5.3.5 認知領域、イメージスキーマとメトニミー
  5.3.6 イメージスキーマ変換とメトニミー
 5.4 文法とメトニミー
  5.4.1 メトニミー的な動機づけをもつ構文
  5.4.2 構文文法でのメトニミー的拡張
 5.5 近接性としての「反対関係」:メトニミーとアイロニー
 
第6章 メタファーとメトニミーの接点
 6.1 「属性」に関わる表現
  6.1.1 属性によるメタファー/メトニミー
  6.1.2 動詞によるメトニミー
  6.1.3 近接性としての類似性
 6.2 メタファーのメトニミー的基盤
  6.2.1 共起性とプライマリーメタファー
  6.2.2 共感覚比喩表現
 6.3 メタフトニミー:メタファーとメトニミーの相互作用
 6.4 意味拡張、概念構築におけるメタファーとメトニミーの役割
  6.4.1 ニックネームに見られるメタファー・メトニミー
  6.4.2 感情のメタファー・メトニミー
 6.5 比喩の処理過程:段階的卓立仮説 (Graded Salience Hypothesis)
 
第7章 類推からみたメタファー
 7.1 類推とは
 7.2 構造写像:高次レベルの類似性
 7.3 抽象化と類推、メタファー
 7.4 「カテゴリー」か「抽象化」か
 7.5 構造のメタファー再考
 7.6 異領域間写像としてのメタファー:類似性と共起性

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