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書籍紹介

講座 認知言語学のフロンティア4〈全6巻〉
言語運用のダイナミズム ――認知語用論のアプローチ

著者 山梨正明〔編〕 / 崎田智子、岡本雅史〔著〕
刊行日 2010年6月25日
ISBN 978-4-327-23704-2
Cコード 3380
NDCコード 801
体裁 A5判 並製 274頁
定価 定価3,300円(本体3,000円+税10%)

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内容紹介
 本巻では、言語能力の自律性を前提とする言語学のアプローチを根源的に問い直し、実際の生きた文脈における言語運用の側面から言語現象の分析を試みることにより、認知語用論の研究の新たな可能性を探っていく。具体的には、現行談話スペース(CDS)や注意のフレーム、イントネーション・ユニット、意識の流れ、新・旧情報の概念を基盤にして、談話の展開、談話構造の構築、文法の発現を可能とする認知プロセスの諸相を分析する。また、レトリックと認知語用論の観点から、日常言語の創造性、逸脱的な言語使用、発話理解、等の問題を根本的に問い直していく。
目次
第1章 認知語用論
1.1 認知科学における認知語用論
1.2 言語学における従来の認知語用論
1.3 新しい認知語用論
 1.3.1 自然な言語運用へのアプローチ
 1.3.2 認知言語学と語用論のインターフェイス
 1.3.3 新しい認知語用論の定義とスコープ
 
第2章 認知と談話・情報
2.1 談話とは何か
2.2 言語の構成要素:談話と認知の言語単位
2.3 談話を特徴づけるもの
 2.3.1 イントネーション・ユニット(IU)
 2.3.2 意識の活性化と情報の言語化
 2.3.3 トピック
 2.3.4 意識の流れと言語化:同定可能性と主語の地位
 2.3.5 談話内の情報の制約
 2.3.6 言語のあるがままの姿とは? そしてプロトタイプとは?
2.4 認知言語学から談話へのアプローチ
 2.4.1 使用事態
 2.4.2 言語単位
 2.4.3 現行談話スペースCDSと談話の連続性
 2.4.4 CDSモデルに見る談話・テクストの展開と新旧情報
 2.4.5 注意のフレームとイントネーション・ユニット
 2.4.6 注意のフレームの構造と意味
 2.4.7 構文スキーマ vs. 情報の制約:システム vs. ストラテジー
 2.4.8 言語単位の慣習化
 2.4.9 談話文脈へのグラウンディング
 2.4.10 談話構造の構築
 
第3章 認知と対話・文法
3.1 談話における文法の創発性
3.2 対話における言語の構築メカニズムとその認知的背景
 3.2.1 対話統語論のアプローチ
 3.2.2 響鳴の認知的背景
 3.2.3 対話統語論のスコープ
 3.2.4 響鳴による発話産出のメカニズム
 3.2.5 対話における響鳴の意義
 3.2.6 プライミング効果
 3.2.7 言語知識の現れとしての対話
 3.2.8 言語獲得の場としての対話
 
第4章 認知語用論から見た言語理解の諸相
4.1 言語から発話事態へ
 4.1.1 発話事態を構成するもの
 4.1.2 Buhlerのオルガノン・モデル
 4.1.3 Rossの遂行分析
 4.1.4 Benvenisteの人称論から潜在的人称構造へ
 4.1.5 発話事態モデル
 4.1.6 発話事態モデルから見た言語と思考
4.2 話者の認知・聴者の認知
 4.2.1 Langackerの事態認知とパースペクティブ
 4.2.2 発話とコンテクストの図-地関係
 4.2.3 認知言語学における〈主観性〉
 4.2.4 〈主観性〉の帰属問題
 4.2.5 〈主観性〉の解釈論的転回
4.3 ICMに基づく言語コミュニケーション評価
 4.3.1 言語コミュニケーションへの主体的関与の3側面
 4.3.2 言語コミュニケーションのICM
 4.3.3 発話理解を支える規範と逸脱
 
5章 レトリックが照らす認知とコミュニケーションの相互関係
5.1 直喩とメタファー:事態認知のグラウンディング
 5.1.1 意味論的主観性と語用論的主観性
 5.1.2 直喩とメタファーにおける主観性
 5.1.3 事態認知のグラウンディング
5.2 メトニミー・リンクとシネクドキ・リンク
 5.2.1 レトリックの修辞性の在処
 5.2.2 メトニミーとシネクドキの定義
 5.2.3 参照点としてのメトニミー
 5.2.4 指示表現におけるメトニミー・リンク
 5.2.5 含意の推論におけるメトニミー・リンク
 5.2.6 指示と述定におけるシネクドキ・リンク
5.3 ヘッジ表現と理解提示方略:認知の前景化としてのメタ認知
 5.3.1 ヘッジ表現におけるメタ認知
 5.3.2 理解提示方略におけるメタ認知
 5.3.3 高次脳機能障害者と健常者の会話データからの観察
5.4 アイロニー:認知的逸脱の発見と帰属
 5.4.1 先行研究
 5.4.2 認知的逸脱
 5.4.3 逸脱言及型アイロニー
 5.4.4 逸脱創出型アイロニー
 5.4.5 話者の事態認知と聴者の発話事態認知
 5.4.6 逸脱暗示型アイロニー
 5.4.7 認知的カテゴリーとしてのアイロニー
5.5 発話を「理解」すること
 5.5.1 発話理解におけるカテゴリー化の役割
 5.5.2 発話処理の暫定的停止装置としてのカテゴリー化
 5.5.3 関係性の発見としての発話理解
 
第6章 総括と展望

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